M&AのNDA(秘密保持契約)とは?締結時のチェックポイント

NDA(秘密保持契約)の締結タイミングや条項を確認する経営者のイメージ

M&Aや事業承継の検討を進めていくと、仲介会社や買い手候補との最初のやり取りの中で「まずNDAを結びましょう」と言われる場面に必ず出会います。契約書を読んでも専門用語が多く、「何をどこまで約束させられるのか」「サインしてしまって不利にならないか」と不安を感じる経営者は少なくありません。

M&Aの全体像や進め方の基本から確認したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

自社の売上や従業員数、取引先といった情報は、経営者が長年かけて築いてきた大切な資産です。それをよく知らない相手に開示することへの警戒感は当然のものであり、決して神経質すぎるわけではありません。

一方で、NDA(秘密保持契約)は、こうした不安を軽減しながらM&Aの検討を前に進めるために設けられている仕組みでもあります。契約の目的や内容を正しく理解していれば、必要以上に恐れる必要はなく、むしろ自社の情報を守るための重要な手段として活用できます。

そこで本記事では、NDAの基本的な定義から、M&Aプロセスにおける締結タイミング、契約書で定める主な条項、締結時の注意点、関連する法律の整理までを、情報収集段階の経営者にも分かりやすく解説します。


目次

NDA(秘密保持契約)とは

NDA(秘密保持契約)の基本的な定義を理解しようとする経営者のイメージ

NDA(Non-Disclosure Agreement)とは、取引や交渉の過程で開示される情報を第三者に漏らさず、契約で定めた目的以外に使用しないことを当事者間で約束する契約です。日本語では「秘密保持契約」と呼ばれ、M&Aに限らず業務提携や共同開発などビジネスの幅広い場面で用いられています。

NDAの基本的な定義と法的性質

NDAは、当事者間の合意によって成立する契約であり、理論上は口頭の合意でも成立し得ます。ただし、秘密情報の範囲・利用目的・情報の返還や破棄・違反時の対応などをめぐって、後から「言った・言わない」の食い違いが生じやすいため、実務上は、トラブル防止や立証の観点から、書面または電子契約で締結するのが通常です。契約に違反した場合、相手方は債務不履行に基づく損害賠償請求などの法的措置を取ることができます。

CA(秘密保持契約)との呼び方の違い

NDAは「CA(Confidentiality Agreement)」と呼ばれることもありますが、実務上はほぼ同じ内容を指す言葉として使われています。仲介会社やM&Aアドバイザーによって呼び方が異なるだけで、契約の目的や効力に大きな違いはないと理解しておけば十分です。

M&AでNDAが重要とされる理由

M&Aの検討では、売上・利益といった財務情報から、取引先、従業員の処遇、技術情報まで、通常は社外に出さない情報を相手候補に開示する場面が数多くあります。開示した情報が交渉の途中で外部に漏れれば、取引先や従業員との信頼関係、競合他社との関係に悪影響が及ぶおそれがあります。

NDAを先に締結しておくことで、開示した情報の取り扱いについて相手方に契約上の義務を負わせることができ、情報漏洩のリスクを一定程度抑制できます。M&Aは専門知識を持つ買い手候補と、日常的にM&Aを経験しない売り手との間で情報量に差が生じやすい取引でもあるため、NDAは売り手が安心して情報を開示するための土台になる契約だといえます。

また、買い手候補が複数存在する場合、NDAを締結した先にしか詳細情報を開示しないというルールを徹底することで、どの候補にどこまでの情報を渡したかを整理しやすくなるという実務上の利点もあります。交渉が同時並行で進むM&Aでは、この情報管理の一貫性が、後々のトラブルを防ぐうえで意外と重要な役割を果たします。

NDAとLOI・MOU・最終契約書との違い【比較表】

NDAとLOI・MOU・最終契約書の違いを比較検討するイメージ

M&Aのプロセスでは、NDA以外にも複数の契約書・書面が登場します。それぞれ締結するタイミングや目的、法的拘束力が異なるため、混同しないよう整理しておきましょう。

書面 主な締結タイミング 目的 法的拘束力
NDA(秘密保持契約) 企業名開示・詳細情報の共有前 開示情報の秘密保持・目的外使用の禁止 あり(秘密保持義務等)
LOI(意向表明書) トップ面談後、条件のすり合わせ段階 買い手候補が譲渡条件への意向を示す 本文全体には拘束力がないことが多いが、秘密保持・独占交渉等の一部条項には拘束力を持たせる場合がある
MOU(基本合意書) 主要条件について大枠合意した段階 独占交渉権の設定など、その後の交渉の土台を作る 独占交渉権等、一部条項のみ拘束力あり
DA(最終契約書) デューデリジェンス完了後 譲渡価格・表明保証等、最終的な取引条件を確定 あり(契約全体に拘束力)

NDAはM&Aプロセスの最も早い段階で締結される書面であり、この時点ではまだ譲渡価格や条件について何も決まっていません。LOIやMOUと違い、取引条件そのものではなく「情報の取り扱いルール」を定める契約である点が大きな違いです。

NDAの次に締結されるMOU(基本合意書)については、締結タイミングや記載内容を別記事で詳しく解説しています。

なお、LOIは本文全体としては法的拘束力を持たないことが多いものの、秘密保持や独占交渉、費用負担、準拠法・管轄などの個別条項について、当事者の合意で拘束力を持たせる例もあります。「LOIには一切拘束力がない」と単純に理解せず、条項ごとの効力を契約書上で確認しておくとよいでしょう。もっとも、当事者間で拘束力を発生させる旨を明記した場合や、条件確定前後の期日・クロージングまでの義務を詳細に書き込みすぎた場合など、記載内容の書きぶり次第では、意図せずLOIの一部または全体が法的義務と評価される可能性もゼロではないため、実際に記載されている表現を弁護士等と確認しておくとより安心です。

NDAを締結するタイミング

NDAを締結するタイミングを専門家と確認する経営者のイメージ

NDAは、M&Aのどの段階で締結すればよいのでしょうか。一般的な流れに沿って、締結のタイミングを確認していきます。

検討開始からクロージングまでのM&Aの流れ全体を把握しておくと、NDA締結の位置づけがより理解しやすくなります。

ノンネームシートから企業名開示までの段階

M&A仲介会社を通じた一般的なプロセスでは、まず社名を伏せた「ノンネームシート」(会社概要を匿名化した資料)を買い手候補に提示し、関心を持った候補先に対して、はじめてNDAの締結を打診します。NDAを締結した段階で、初めて社名や詳細な事業内容が開示されるのが通常の流れです。

IM(企業概要書)開示・トップ面談前

NDA締結後には、財務情報や事業内容をまとめた「IM(企業概要書、インフォメーション・メモランダム)」が買い手候補に開示され、双方が条件面での関心を確認したうえでトップ面談に進みます。IMには機密性の高い情報が含まれるため、この開示前にNDAが締結済みであることが前提になります。

業務提携や資本提携の検討段階

M&Aだけでなく、業務提携や資本提携の検討段階でも、具体的な事業計画や技術情報を共有する前にNDAを締結するのが一般的です。提携の話がまとまらなかった場合でも、開示済みの情報が保護される点は同じです。

いずれの場面にも共通するのは、「具体的で機密性の高い情報を開示する前に締結する」という原則です。情報を開示してから契約を結ぼうとしても、開示済みの情報については保護が及ばない可能性があるため、順序を誤らないことが重要です。

NDAで定める主な条項

NDAの契約条項を丁寧に確認する経営者のイメージ

NDAの契約書には、いくつかの定型的な条項が含まれます。内容を理解しておくことで、契約書を確認する際に見るべきポイントが明確になります。

秘密情報の定義と対象範囲

まず、どの情報を「秘密情報」として扱うかを定義します。財務資料や事業計画、顧客情報などを具体的に列挙する方式や、開示時に「秘密」である旨を明示した情報のみを対象とする方式など、定め方はさまざまです。一般に公知の情報、開示を受ける前から自ら保有していた情報、正当な手段で第三者から取得した情報、受領者が独自に開発した情報は、秘密情報の対象から除外されるのが通例です。

定義の範囲が曖昧なまま締結すると、「口頭で伝えた内容は秘密情報に含まれるのか」といった解釈の違いが後になって問題になることがあります。書面や資料として交付した情報だけでなく、面談で口頭説明した内容も対象に含めるかどうかは、契約書の文言を確認しておきたいポイントです。

目的外使用の禁止と開示先の制限

開示された情報を、M&Aの検討という契約上の目的以外に使用することを禁止する条項です。あわせて、情報を共有できる相手(自社の役員、顧問税理士・弁護士など)を限定し、それ以外の第三者への開示を禁止する規定を設けるのが一般的です。無断で従業員・取引先へ接触することを制限する規定(無断接触禁止条項)や、従業員の引き抜きを禁止する規定(勧誘禁止条項)は、当然にNDAに含まれるとは限らず、独立した条項や別書面として定められる場合もあります。M&Aの検討中に買い手候補から自社の従業員や取引先へ直接連絡が入ることを避けたい場合は、これらの条項の有無を個別に確認しておく必要があります。

片務型と双務型の違い

NDAには、自社(開示者)のみが秘密保持義務を負う「片務型」と、双方が互いに開示した情報について秘密保持義務を負う「双務型」の2つの形式があります。M&Aの初期段階では、売り手が財務情報や事業内容といった詳細情報を先に開示することが多いため、売り手側の情報を守る片務型のひな形が提示されることも少なくありません。もっとも、交渉が進むにつれて買い手側も自社の情報(買収スキームや資金調達方法など)を開示する場面が出てくるため、双務型への修正や差し替えを検討する余地もあります。どちらの形式が自社に適しているかは、開示する情報の内容や交渉段階によって異なるため、締結前に確認しておきたいポイントの一つです。

秘密保持期間と契約終了後の扱い

秘密情報を保護する期間についても定めます。M&Aの検討が終了した後も、一定期間は秘密保持義務が存続する規定を設けるのが通例ですが、具体的な期間は情報の性質や業界慣行によって異なり、統一的な基準があるわけではありません。あわせて、検討が終了した際の情報の返還・破棄義務についても定められます。

損害賠償・差止請求

契約違反があった場合の損害賠償請求や、情報の利用差し止めを求める権利について定める条項です。ただし、契約書に差止請求権を明記していても、実際に差止めが認められるかどうかは被保全権利の存在や保全の必要性など法的手続き上の要件を満たす必要があり、契約書に書けば当然に実効性が確保されるわけではない点は理解しておきましょう。M&Aの検討が破談になった場合の対応や、準拠法・管轄裁判所についても、あわせて明記されるのが一般的です。

NDA締結のメリットと売り手が知っておきたい限界

NDA締結のメリットと限界の両方を考える経営者のイメージ

メリット:情報漏洩の抑止と損害賠償請求権の確保

NDAを締結する最大のメリットは、相手方に契約上の秘密保持義務を負わせることで、情報漏洩の心理的な抑止力になる点です。また、万が一情報が漏洩した場合には、契約違反を根拠とした損害賠償請求や差止請求という法的な手段を取れる点も、口頭の約束だけでは得られない実務上の効果です。

秘密情報の範囲や開示先を契約書で明確にしておくことは、後になって「どこまで話してよい情報だったか」をめぐる認識のずれを防ぐことにもつながります。

限界:NDAだけでは防ぎきれないリスク

一方で、NDAを締結したからといって、情報漏洩のリスクがゼロになるわけではない点は理解しておく必要があります。実際に情報が漏れてしまった場合、漏洩の事実や因果関係を立証すること自体が容易ではなく、損害賠償請求が想定どおりに認められるとは限りません。また、NDAは相手方との間で結ぶ契約であるため、相手方の従業員個人の不注意による情報流出などを完全に防ぐ手段にはなり得ません。

NDAはあくまで情報漏洩の抑止力とトラブル発生時の対応根拠を確保するための仕組みであり、開示する情報の範囲そのものを必要最小限にとどめる、開示のタイミングを慎重に見極めるといった実務上の工夫と組み合わせて活用することが重要です。

NDA締結の具体的な流れと期間の目安

NDA締結の流れと期間の目安を確認する経営者のイメージ

NDA自体の締結プロセスは、他の契約書に比べて比較的短期間で完了することが多いですが、一般的な流れを押さえておきましょう。

ステップ 内容 期間の目安
ひな形の提示 仲介会社または相手方候補が、NDAのひな形を提示する 数日程度
内容の確認・修正協議 秘密情報の範囲や保持期間などについて確認し、必要に応じて修正を協議する 数日〜1週間程度
締結 書面または電子契約で双方が署名・押印する 即日〜数日程度
情報開示の開始 締結後、社名やIMなど具体的な情報の開示が始まる 締結直後

NDA自体の締結にかかる期間は、ひな形をベースに大きな争点がなければ数日〜1週間程度で完了することも多く、上表の目安とも整合します。ただし、秘密情報の範囲や無断接触禁止条項の有無など、条項の修正協議が長引く場合や、複数の候補先と並行して締結を進める場合には、数週間程度かかることもあります。

NDAと関連する法律の整理

NDAと関連する法律を整理して確認する経営者のイメージ

NDAは契約によって秘密情報を保護する仕組みですが、日本には情報の取り扱いに関する法律もいくつか存在します。NDAとの関係を整理しておきましょう。

不正競争防止法の「営業秘密」保護との違い

不正競争防止法では、一定の要件を満たす情報を「営業秘密」として保護しています。ただし、法律上の保護を受けるには、秘密として管理されていること(秘密管理性)、事業活動に有用な情報であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)という3つの要件を満たす必要があり、開示した情報が自動的に法律上の営業秘密として保護されるわけではありません。

これに対してNDAは、当事者間の契約によって秘密保持義務を課すものであり、不正競争防止法上の営業秘密に該当するかどうかにかかわらず、契約違反を根拠とした請求が可能になる点に意義があります。両者は互いに補完し合う関係にあると理解しておくとよいでしょう。

なお、海外企業を買い手候補として想定する国際M&Aの場合には、NDAの準拠法や紛争解決地をどの国の法律・裁判所とするかという論点が加わります。相手国によって秘密情報保護の考え方や契約実務が異なるため、国内企業同士のM&A以上に、契約書の細部まで専門家に確認する必要性が高まる点も押さえておきましょう。

個人情報保護法とデューデリジェンス段階の情報開示

M&Aの最終契約後、事業承継(合併・会社分割・事業譲渡等)に伴って個人データを提供すること自体は、個人情報保護法上、本人の同意を得ずに行うことができる第三者提供の例外として整理されています(個人情報保護法27条5項2号、出典:個人情報保護委員会「合併や組織再編等を行う事業者の方へ」)。ただし、この例外はあくまで事業承継が確定した場合の取り扱いを想定したものであり、承継後も承継前の利用目的の達成に必要な範囲内で個人データを取り扱うことが前提とされている点には注意が必要です。承継先企業が個人データを、元の利用目的とは関連性のない新たな目的(例えば新たなマーケティング目的など)で利用しようとする場合は、原則として別途本人の同意が必要になる点も押さえておきましょう。

一方で、デューデリジェンス(DD、買収監査)の段階は、事業承継そのものがまだ確定していないため、この例外を当然に適用できるとは限りません。買収を検討しているに過ぎない相手候補に従業員や顧客の個人データを開示する場面では、氏名を伏せる、顧客リストをID化する、従業員情報を年齢帯・勤続年数・部門別人数などの集計値にとどめるといった形で個人が特定されない範囲に加工したうえで、開示する情報の範囲を必要最小限にとどめることが望ましいとされています。NDAによる秘密保持義務があることを理由に、個人データをそのまま開示してよいことにはならない点を押さえておきましょう。

個人情報の取り扱いを含め、デューデリジェンス(DD)の目的や流れ、売り手が注意すべきポイントについては別記事で詳しく解説しています。

中小M&Aガイドライン第3版とNDA実務

中小M&Aガイドライン第3版に基づく説明を受ける経営者のイメージ

中小企業庁が策定する「中小M&Aガイドライン」は、2024年8月30日に第3版が公表され、2025年1月1日から適用されています。M&A支援機関登録制度にすでに登録していた仲介会社・FAは、2024年12月31日までに第3版遵守に向けた対応を完了し、遵守を宣言することが求められました。第3版では、契約締結前に顧客へ書面で説明すべき事項が拡充され、仲介者とFAの違い、提供業務の範囲、秘密保持に関する事項、直接交渉の制限、専任条項の有無、契約終了後も成功報酬を請求できる「テール条項」の有無、報酬の算定方法や料率テーブルなどが、説明事項として挙げられています。

ガイドラインの詳しい内容は中小M&Aガイドラインで詳しく解説しています。

このガイドライン自体はNDAの具体的な書式を定めるものではありませんが、契約に先立って支援機関がどこまで丁寧に説明を尽くすかは、NDAの内容説明にも通じる姿勢の表れといえます。仲介会社が用意したひな形をそのまま鵜呑みにせず、自社の状況に照らして内容を確認し、迷ったときは中立的な第三者に相談するという選択肢も、その後のM&Aプロセス全体の安心感につながります。

NDA違反時のリスクと締結前チェックリスト

NDA締結前のチェックリストを確認する経営者のイメージ

NDA違反が疑われる場合の対応

情報漏洩など、NDA違反が疑われる事態が発生した場合は、まず漏洩した情報の内容と経路を可能な範囲で特定し、契約書に定められた対応手順(通知義務や協議条項など)に沿って相手方に事実確認を求めることが基本になります。損害賠償請求や差止請求を検討する場合には、漏洩の事実や損害との因果関係を立証する必要があるため、早い段階で弁護士に相談し、証拠の保全を進めることが望ましいでしょう。

締結前に確認しておきたいチェックリスト

NDAを締結する前には、次のような点を確認しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

  • 秘密情報の定義・範囲が具体的に記載されているか
  • 情報を共有できる相手(役員、顧問税理士・弁護士等)が限定されているか
  • 目的外使用の禁止が明確に定められているか
  • 秘密保持期間が契約終了後も一定期間存続する規定になっているか
  • 損害賠償・差止請求に関する条項が設けられているか
  • 準拠法・管轄裁判所が明記されているか
  • 自社にとって一方的に不利な内容(片務的な秘密保持義務など)になっていないか

これらは弁護士でなくても、契約書を一読すれば確認できる項目です。少しでも疑問を感じた条項があれば、署名前に仲介会社や専門家に確認する習慣を持つことをおすすめします。

自分だけで判断するのが不安な場合は、セカンドオピニオンとして第三者の専門家に相談する方法もあります。

よくある質問(FAQ)

Q1. NDAの有効期間はどのくらいが一般的ですか? A. 業界慣行や情報の性質によって異なり、統一的な基準があるわけではありません。契約期間中に加えて、契約終了後も一定期間、秘密保持義務が存続する規定を設けるのが一般的です。具体的な期間は契約書ごとに確認する必要があります。

Q2. NDAを結ばずに情報を開示してしまった場合はどうなりますか? A. NDA締結前に開示した情報については、契約上の秘密保持義務が及ばない可能性があります。情報を開示する前に必ずNDAを締結する順序を守ることが重要です。

Q3. 個人で小規模なM&Aを検討する場合もNDAは必要ですか? A. 会社の規模にかかわらず、財務情報や取引先情報など、第三者に知られたくない情報を開示する場面では、NDAを締結しておくことが望ましいといえます。

Q4. NDAに違反した相手にはどう対応すればよいですか? A. まずは契約書に定められた対応手順に沿って事実確認を行い、損害賠償請求などの法的措置を検討する場合は、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

Q5. 仲介会社が用意したNDAのひな形をそのまま使ってもよいですか? A. ひな形自体に大きな問題がないケースも多いですが、秘密情報の範囲や保持期間など自社の状況に合わない条項が含まれていないか、内容を確認してから締結することをおすすめします。

Q6. 電子契約でNDAを締結しても法的効力はありますか? A. NDAは書面の形式を問わず当事者の合意によって成立する契約であるため、電子契約による締結でも法的効力は認められます。電子署名法は一定の要件を満たす電子署名について、電磁的記録の真正な成立を推定する枠組みを設けており、締結記録が残る点も含めて実務上のメリットがあります。ただし、どの電子契約サービスを使っても同じ立証力が当然に確保されるわけではないため、本人性の確認方法や改ざん防止の仕組みを備えたサービスかどうかを確認しておくと安心です。

Q7. NDAを締結した後、M&Aの検討をやめても問題ありませんか? A. NDAはあくまで情報の取り扱いについて定めた契約であり、M&Aの検討自体を継続する義務を課すものではありません。検討を中止すること自体に問題はありませんが、開示済みの秘密情報の返還・破棄義務や、契約終了後も存続する秘密保持義務については、契約書の定めに従って対応する必要があります。

まとめ

NDA(秘密保持契約)は、M&Aプロセスの初期段階で、企業名や詳細情報を開示する前に締結する契約であり、開示した情報の取り扱いについて相手方に契約上の義務を負わせる役割を果たします。LOIやMOU、最終契約書とは異なり、取引条件そのものではなく情報の取り扱いルールを定める契約である点を理解しておくと、契約書の位置づけが把握しやすくなります。

一方で、NDAを締結すれば情報漏洩のリスクがゼロになるわけではなく、秘密情報の範囲や保持期間、損害賠償条項の内容を自社の状況に照らして確認する姿勢が欠かせません。契約内容に少しでも疑問が残る場合は、署名前に専門家へ確認することをおすすめします。

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