© 2026 M&Aプロ.
会社売却後の経営者保証(個人保証)はどうなる?

M&Aや事業承継を検討しているとき、「会社を売却すれば個人保証は自動的になくなるのか」と考えている経営者は少なくありません。しかし現実には、株式譲渡が完了した後も経営者保証が残り続け、クロージング後に思わぬトラブルを抱えるケースが実務上しばしば起こります。長年会社のために負ってきた個人のリスクを、M&Aを機にきちんと解消したいと思うのは当然のことです。
そうした不安を抱えながら手続きを進めると、買い手や金融機関との交渉でどこか遠慮が生まれ、肝心な場面での判断が後手に回りがちです。経営者保証の解除は「頼めばやってもらえる」ものではなく、売り手側が主体的に準備し、交渉し、場合によっては専門家の支援を活用しなければ実現しない問題です。
そこで本記事では、経営者保証の基本的な仕組みから、M&A・事業承継の場面における解除の条件・手順・よくあるトラブルと対策まで、売り手経営者の目線で体系的に解説します。制度の最新動向も含め整理しますので、ぜひ交渉の前準備としてお役立てください。
この記事の監修者

森沢 雄太
一般社団法人
M&Aセカンドオピニオン協会
代表理事
外資系銀行でのウェルスマネジメント業務を経て、日本M&Aセンターに入社。譲渡側アドバイザーとして100件超の成約に関与し、野村證券出向や福岡支店立ち上げも経験。2018年に日本投資ファンド立ち上げに参画し、投資先の再生にも成功。2022年、合同会社M&Aプレップを創業し、仲介会社・ファンドへの支援やオーナー向け売却準備、買収支援など幅広く展開。2024年には売却支援事業拡大のため株式会社企業経営支援機構を設立し代表に就任。加えて、M&Aにおける利益相反や情報格差の是正を目的とし、代表理事として一般社団法人M&Aセカンドオピニオン協会を設立。
経営者保証とは何か

経営者保証(個人保証)とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が連帯保証人となる慣行のことです。会社が返済できなくなった場合、経営者個人が借入金を返済する義務を負います。自宅を含む個人資産が差し押さえの対象になり得るため、経営者にとって非常に重い負担です。
この慣行は長年にわたって中小企業金融の基盤となってきました。金融機関の側からすると、中小企業の財務情報の透明性が十分でない場合に、経営者の個人資産を信用補完として活用できるため、融資の可否判断がしやすくなるというメリットがあります。また、経営者が会社と一体で責任を負うことで、財務規律の維持にも一定の効果があるとされてきました。
一方、売り手経営者の立場からは、経営者保証が事業展開や経営判断を萎縮させる要因となったり、後継者が保証引き継ぎを嫌がることで事業承継が進みにくくなったりする弊害が長く指摘されてきました。この問題意識が制度改革の出発点です。
経営者保証ガイドラインの位置づけ
こうした課題を解決するために、全国銀行協会と日本商工会議所が中心となり、2014年2月に「経営者保証に関するガイドライン」が運用開始されました。法的拘束力はありませんが、金融機関と経営者双方が自主的に尊重することが期待される実務上の指針であり、中小企業金融の現場では事実上の基準として機能しています。
ガイドラインは、一定の要件を満たす場合に経営者保証なしでの融資や既存保証の解除を可能にするとともに、保証が必要な場合には金融機関が具体的な理由を説明することを求めています。2022年6月にガイドライン自体が一部改定されたほか、2022年12月の「経営者保証改革プログラム」を受けて金融庁が監督指針を改正し、2023年4月1日から金融機関が保証を徴求する際の説明態勢の整備が監督上求められるようになりました(金融庁「経営者保証ホットラインの開設について」、2023年4月)。
さらに国として制度改革を加速するため、経済産業省・金融庁・財務省が連携して2022年12月に「経営者保証改革プログラム」を策定しました(経済産業省・金融庁・財務省「経営者保証改革プログラム」、2022年12月)。スタートアップ・創業、民間金融機関による融資、信用保証付融資、中小企業のガバナンスの4分野で経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させる内容です。
経営者保証ガイドラインの3要件
ガイドラインに基づいて経営者保証なしの融資や保証解除を求めるには、次の3つの要件をすべてまたは相当程度満たすことが求められます。
| 要件 | 内容の概要 |
|---|---|
| 法人と個人の資産・経理の分離 | 会社の収益や資産を経営者個人が私的に流用せず、法人と個人の財務が明確に区別されている |
| 財務基盤の強化 | 法人単体の収益力・資産で借入金の返済が可能な状態にある |
| 財務情報の透明性・継続的開示 | 金融機関に対して財務状況を定期的・継続的に開示している |
この3要件は、M&Aにおける保証解除交渉でも基本的な判断軸になります。売却前の段階からこれらの要件に沿って財務・経営体制を整えておくことが、スムーズな解除につながります。
経営者保証が解除されない場合のリスク

M&Aが成立した後も経営者保証が外れないまま放置されると、元経営者にとって深刻な問題が生じます。この点は実務でも見落とされやすいため、具体的なリスクを整理しておきます。
会社の経営権はすでに買い手に移っているにもかかわらず、元経営者が引き続き会社の借入債務の連帯保証人であり続けるという状態が続きます。買い手による経営判断や事業運営の結果として会社の財務状況が悪化した場合でも、金融機関は元経営者に対して保証債務の履行を請求することが法的に可能です。
また、経営者保証が残っていると、元経営者は新たな事業の立ち上げや別の投資活動に対して心理的・実質的な制約を受けます。個人の信用枠が保証によって占有されている状態が続くためです。
さらに最終契約書(DA)の締結後にこの問題が発覚すると、交渉の余地が大幅に狭まります。クロージング前の段階で解除の確約または合理的なスケジュールを契約書に明記しておくことが、売り手側の重要な交渉課題です。
買い手が解除手続きを進めてくれないケース
実務上よく聞かれるトラブルとして、クロージング後に買い手が金融機関への保証解除手続きを積極的に進めないというケースがあります。買い手の立場からすると、M&A成立後は自社のPMI(統合後プロセス)や事業運営に注力するため、元売り手の保証解除対応の優先順位が下がりやすいという事情があります。
こうした事態を防ぐには、最終契約書の中に買い手の保証解除協力義務と期限を明記する条項を盛り込むことが有効です。ただし、買い手側がこの条項を受け入れるかどうかは交渉次第であり、また金融機関が解除に応じるかは最終的には金融機関の判断に委ねられます。売り手として「契約書に条項を入れたから安心」と考えるのではなく、金融機関との交渉状況を並行して把握し続けることが必要です。
M&Aにおける経営者保証解除の手順

M&A・事業承継の場面で経営者保証を解除するための手順は、売却プロセスの進行と並行して進めるのが基本です。売却後に慌てて動き始めるのではなく、売却検討の早い段階から取り組むことで交渉上の選択肢が広がります。
ステップ1:自社の現状把握(売却検討開始時)
まず、現在どの金融機関に対していくらの保証を提供しているかを把握します。借入残高・借入先・保証の種類(根保証か個別保証か)・保証期限を一覧化します。同時に、経営者保証ガイドラインの3要件(法人と個人の分離・財務基盤・透明性)に照らして自社の現状がどの程度満たされているかを確認します。
ステップ2:金融機関への事前相談(売却活動の開始前後)
売却のM&Aプロセスが本格化する前に、取引金融機関に対して「M&Aを検討しており、経営者保証の解除についても相談したい」という意向を伝えます。金融機関にとっても突然の申し出より、早い段階で情報共有されているほうが対応を検討しやすいため、関係構築の観点からも早めの相談が重要です。
なお、金融庁等関係機関が「M&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワーク」を開設しています(金融庁、2026年5月)。M&A・事業承継に際して経営者保証が円滑な実施の支障となっている場合、経営者・後継者・金融機関・信用保証協会といった関係者間の認識共有を図るための仕組みです。複数金融機関が関係する場合など、情報共有の枠組みとして活用を検討する価値があります(詳細は金融庁公式ページをご確認ください)。
ステップ3:買い手との交渉・契約条項への反映(基本合意から最終契約まで)
買い手が決まったら、基本合意書(LOI・MOU)の段階から保証解除に関する協議を始めます。この時点で解除が確実でなくても、「クロージング後に誠実に解除手続きを進める」旨を合意しておくことが重要です。最終契約書(DA)には、買い手による金融機関への解除申し入れ義務、スケジュールの目安、解除が実現できなかった場合の対応方針などを具体的に記載することを検討します。
デューデリジェンス(DD)の過程でも、借入明細・保証契約書が調査対象になります。この段階で保証の状況が明確に開示されていないと、買い手の不信感につながるため、早期の情報整理が有効です。
ステップ4:体制整備と金融機関との継続交渉(クロージング前後)
金融機関が保証解除に応じるかどうかは、最終的には金融機関の判断になります。ガイドラインの3要件を満たすための体制整備(財務諸表の整備、法人口座と個人口座の明確な分離、継続的な財務情報の開示など)を進め、金融機関との信頼関係を構築した上で交渉を続けます。税理士や弁護士など専門家の支援を活用することで、交渉の進め方や必要書類の整備が効率化されます。
ステップ5:解除後の確認(クロージング後)
保証解除が正式に完了したら、金融機関から書面による確認を取得します。口頭での確認では不十分です。解除完了の書面を保管し、万が一後日問題が生じた際に備えます。
なお解除までの期間は、会社の財務状況・借入規模・金融機関の方針によって大きく異なります。短期で完了するケースもあれば、1年以上かかるケースもあるため、売却スケジュールとの調整を早めに始めることが重要です。
事業承継時の特則と支援制度

M&Aを含む事業承継の場面では、通常のガイドラインに加えて、2019年12月から「経営者保証に関するガイドライン」の特則(事業承継時特則)の運用が始まっています(中小企業庁・金融庁・財務省「経営者保証に関するガイドラインの特則」、2019年12月)。
特則では、前経営者と後継者の双方から同時に保証を取る「二重徴求」について、原則として行わない方向で運用することが求められています。また、前経営者が保証を引き続き提供する場合には、その必要性について金融機関が丁寧に説明することを求めています。特則はガイドラインと同様に法的拘束力を持つものではありませんが、M&Aにおける交渉の根拠として活用できる考え方を示しています。
さらに、事業承継・引継ぎ支援センター(各都道府県に設置)では、経営者保証に関する専門家支援業務を実施しています。経営者保証の解除に向けた体制整備への支援が受けられる制度があります(中小企業庁「事業承継時の経営者保証解除に向けた専門家支援業務」、2023年4月開始)。支援内容や利用条件は時期によって変更される可能性があるため、最新情報は最寄りのセンターまたは中小企業庁の公式ページでご確認ください。
経営者保証なしの融資割合は政策誘導の効果もあって近年着実に上昇しており、2023年度実績では政府系金融機関平均で約60%、民間金融機関でも47.5%に達しています(中小企業庁「政府系金融機関における経営者保証に関するガイドラインの活用実績(令和5年度)」)。こうした環境変化は売り手側の交渉力を高める追い風になっています。
M&Aや事業承継を進める際にこれらの制度をどう活用すべきか、個別の状況に応じた整理が必要と感じたときは、第三者の専門家に相談することも一つの方法です。M&Aインサイトでは、完全無料・成功報酬なしのセカンドオピニオンサービスを提供しています。
M&Aスキームによる経営者保証への影響の違い

M&Aの手法(スキーム)によって、経営者保証の扱いが変わる点は売り手経営者にとって重要な知識です。主なスキームを比較します。
| スキーム | 会社の負債の承継 | 経営者保証への影響 |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | 会社の負債はそのまま残る | 経営者保証も原則そのまま残る。解除には金融機関との別途交渉が必要 |
| 事業譲渡 | 原則として個別承継。債務は明示的に承継対象とした場合のみ移転し、当然には引き継がれない | 譲渡対象に含まれない債務に関する保証は残存する可能性がある |
| 会社分割 | 分割計画・契約に基づき承継される | 承継対象債務に関連する保証の扱いは契約と金融機関との交渉で決まる |
| 合併 | 全負債が存続会社に移行 | 保証契約は金融機関との別個の契約であり、合併後も当然には消滅しない。解除には金融機関の同意が必要 |
中小企業のM&Aで最も多く用いられる株式譲渡では、会社の借入はそのまま買い手の経営する会社に引き継がれます。経営権は買い手に移りますが、元経営者の連帯保証契約は金融機関との間の別個の契約であるため、株式譲渡だけでは自動的に消滅しません。解除には金融機関の同意が必要です。
事業譲渡の場合、買い手は選択した事業の資産・負債を個別に承継するため、借入債務の扱いは個別交渉になります。経営者保証の解除については、どの債務がどのように処理されるかを仲介者・FA・弁護士と事前に整理しておくことが重要です。スキームの選択が保証解除の難易度に直結するため、売却検討の早い段階で専門家を交えて確認することを勧めます。
経営者保証に関するよくあるトラブルと対策

実務上発生しやすいトラブルのパターンと、それぞれへの対処法を整理します。
買い手が解除手続きを後回しにする
M&A成立後、買い手が経営統合(PMI)に注力するあまり、元売り手の保証解除対応が滞るケースです。最終契約書に解除協力義務と進捗報告の仕組みを明記しておくことが基本的な対策です。また、買い手との良好な関係を維持し、定期的にフォローアップを続けることも現実的な対応です。
金融機関が解除に応じない
ガイドラインに基づく要件を満たしていても、金融機関が解除を認めないケースがあります。ガイドラインは自主規制であり法的強制力がないためです。この場合、金融機関への丁寧な説明・追加資料の提出・中小企業活性化協議会や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談などが有効な選択肢になります。弁護士が交渉に関与することで、金融機関の対応が変わるケースもあります。
「売却すれば保証は消える」という誤解によるトラブル
M&Aの仲介業者からの説明が不十分で、クロージング後に「保証がまだ残っている」と気づくケースがあります。売却プロセス全体を通じて保証解除の見通しを具体的に確認し、契約書に盛り込まれている内容を自分自身で把握しておくことが重要です。疑問点があれば、中立的な第三者に内容を確認してもらうことを検討してください。
保証解除のための詐欺的勧誘
M&Aや事業承継に関連した悪質な勧誘事例への注意喚起が公的機関から行われています(中小M&Aガイドライン第3版、2024年8月)。「保証を確実に解除できる」「費用を払えば解決できる」などの誇大な謳い文句には注意が必要です。公的機関や弁護士・税理士など資格を持つ専門家への相談を基本とし、根拠が不明確な業者への依頼は慎重に判断してください。
M&A・事業承継前に確認すべき経営者保証チェックリスト

以下のチェックリストを、売却検討の早い段階で確認することを推奨します。
- すべての金融機関との借入契約・保証契約の内容を一覧化しているか
- 根保証か個別保証かの区別、保証期限を把握しているか
- 法人の口座・経費と経営者個人の財産・口座が明確に分離されているか
- 直近3期分の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)を整備しているか(キャッシュフロー計算書は中小企業での作成は必須ではないが、可能であれば整備しておくと金融機関との交渉を有利に進めやすい)
- 金融機関に対して定期的に財務情報を開示しているか
- 経営者保証ガイドラインの3要件を満たすための改善事項を把握しているか
- M&A仲介者・FAに対して保証解除の希望を明示しているか
- 最終契約書(DA)に保証解除関連の条項を盛り込む交渉をしているか
- 弁護士・税理士など専門家のサポート体制を整えているか
- 事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的支援の活用を検討しているか
よくある質問(FAQ)
Q1. 株式譲渡が完了したら、経営者保証は自動的に解除されますか?
いいえ、自動的には解除されません。株式譲渡は経営権の移転であり、金融機関との間の保証契約は別個の契約です。解除するためには金融機関と別途交渉し、金融機関の同意を得ることが必要です。M&A成立後に交渉を始めるのではなく、売却プロセスの早い段階から金融機関に意向を伝え、準備を進めることが重要です。
Q2. 経営者保証ガイドラインを使えば、必ず保証を解除してもらえますか?
必ずしもそうではありません。ガイドラインは法的強制力を持つ規定ではなく、金融機関が自主的に尊重する指針です。3要件を相当程度満たしていることを示すことで交渉の根拠にはなりますが、最終的には金融機関の判断によります。要件を満たすための体制整備と丁寧な説明を重ねることが、解除実現への近道です。
Q3. 解除交渉はいつ始めるのが適切ですか?
売却検討を開始した早い段階、できれば仲介者・FAと接触する前後のタイミングで、金融機関に相談を始めることが理想的です。解除には一定の時間がかかることが多く、クロージング直前に急いで交渉しても間に合わないケースがあります。早期に動き始めることで選択肢が広がります。
Q4. 事業承継時の特則とは何ですか?M&Aにも適用されますか?
2019年12月から運用が始まった「経営者保証に関するガイドラインの特則」は、事業承継の場面で前経営者と後継者の双方から保証を取る「二重徴求」を原則として行わない方向での運用を求めるものです。M&Aによる事業承継においても参考となる考え方であり、売り手が保証を引き続き負担しながら、買い手側の新経営者にも保証を求めるという状況を是正するための交渉根拠として活用できます。ただし特則はすべてのM&A案件に直接適用される法令ではなく、あくまでガイドライン上の取扱いであることに留意してください。
Q5. 経営者保証の解除に向けて使える公的支援はありますか?
各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターでは、経営者保証の解除に向けた専門家支援業務を提供しています(中小企業庁、2023年4月開始)。また、中小企業活性化協議会でも相談に対応しています。支援内容や利用条件は最寄りの窓口でご確認ください。また金融庁等関係機関が「M&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワーク」を開設しており(2026年5月)、M&A・事業承継時に経営者保証が障害となっている場合に関係者間の認識共有を図るための枠組みとして活用できます。
Q6. 保証が残ったまま売却するリスクはどの程度深刻ですか?
軽視できないリスクです。クロージング後に買い手の経営によって会社の財務状況が悪化した場合、元経営者は返済能力のない会社の借入に対して個人で責任を負う可能性があります。新しい事業の立ち上げや個人の資産運用にも制約が生じます。保証解除が完了するまでは、実質的に会社の経営リスクを個人として背負い続ける状態が続くことを認識しておく必要があります。
まとめ
経営者保証は、M&Aや事業承継の場面で「売却すれば解消される」と誤解されやすい問題ですが、実際には株式譲渡後も自動的には解除されず、元経営者に残り続けるリスクがあります。解除には、ガイドラインの3要件を満たすための体制整備・金融機関との交渉・最終契約書への条項反映という複数の対応が必要です。
2019年の事業承継時特則、2022年のガイドライン一部改定と監督指針改正(2023年4月適用開始)、2022年末の経営者保証改革プログラム、そして2026年5月の経営者保証情報ネットワーク開設と、制度環境は売り手経営者にとって着実に改善されています。しかしそれでも、解除を確実に実現するためには、売却プロセスの早い段階から動き始めることと、専門家のサポートを活用することが不可欠です。
M&A交渉の中で「この条件は適切なのか」「保証解除の見通しについて誰かに確認したい」と感じたとき、中立的な第三者の意見は経営判断の精度を高める助けになります。M&Aインサイトでは、売り手経営者が納得のいく意思決定をできるよう、完全無料・成功報酬なしのセカンドオピニオンサービスを提供しています。仲介会社や買い手とは利害関係のない中立的な立場から、個別の状況に応じてアドバイスをお伝えします。
参考・出典
- 全国銀行協会・日本商工会議所「経営者保証に関するガイドライン」(2014年2月運用開始、2022年6月一部改定)
- 経営者保証に関するガイドライン研究会「事業承継時に焦点を当てた経営者保証に関するガイドラインの特則」(2019年12月)
- 経済産業省・金融庁・財務省「経営者保証改革プログラム」(2022年12月)
- 金融庁「経営者保証ホットラインの開設について」(2023年4月)
- 金融庁「M&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワーク」(2026年5月開設)https://www.fsa.go.jp/receipt/k_network/k_network.html
- 中小企業庁「事業承継時の経営者保証解除に向けた専門家支援業務」(2023年4月開始)https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/hosyoukaijo/index.html
- 経済産業省「中小M&Aガイドライン(第3版)」(2024年8月)https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240830002/20240830002.html
- 中小企業庁「政府系金融機関における経営者保証に関するガイドラインの活用実績(令和5年度)」
- 金融庁「民間金融機関における経営者保証に関するガイドライン等の活用実績(2023年4月〜9月末)」(2023年12月)
監修者情報
本記事は、森沢雄太氏(一般社団法人M&Aセカンドオピニオン協会 代表理事/日本M&Aセンター出身/M&A成約実績100件超)の監修のもと作成しています。