事業承継補助金とは?2026年最新の4つの支援枠・申請方法・注意点を徹底解説

事業承継補助金の全体像を確認する中小企業経営者

「会社を次の世代に残したいが、承継にかかる費用の見当がつかない」「M&Aを使って第三者に譲渡したいが、仲介手数料やデューデリジェンス費用の負担が重い」——こうした悩みを抱えながら、補助金を活用できるとは知らずにいる経営者が少なくありません。

事業承継をめぐる資金負担は、実際には国の補助制度によって一部をカバーできます。国は中小企業の円滑な事業承継を政策の柱に据えており、設備投資から専門家費用、M&A後の統合費用、廃業費用まで幅広く支援する補助金制度を設けています。それが「事業承継・M&A補助金」(旧称:事業承継・引継ぎ補助金)です。

しかし「補助金があることは聞いたが、自社が対象なのか」「どの枠を選べばいいのかわからない」「申請が複雑で手が出せない」と感じている経営者も多いのが実情です。

そこで本記事では、2026年の最新情報(15次公募対応)をもとに、事業承継補助金の全体像から4つの支援枠の違い、補助上限額・補助率、申請の流れ、採択率の実績、よくある失敗パターンまでを、売り手経営者の視点から体系的に解説します。



目次

事業承継・M&A補助金とは

事業承継・M&A補助金の制度説明を受ける中小企業経営者

事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者が事業承継やM&Aを実施する際に生じる費用の一部を国が補助する制度です。経済産業省(中小企業庁)が所管し、中小機構が運営支援を行っています。

経営者の高齢化と後継者不足が深刻化するなか、廃業による技術・雇用の喪失を防ぐことを目的として設計されています。中小企業庁の推計によれば、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人にのぼり、そのうち約127万人(半数近く)が後継者未定の状態とされています(中小企業庁資料、2022年時点)。

本補助金の大きな特徴は、事業承継の「形態」や「フェーズ」に応じて4つの枠を用意している点です。親族内・従業員承継の設備投資、M&Aに関わる専門家費用、M&A成立後の統合作業(PMI)、さらには廃業からの再チャレンジまで、幅広い局面をカバーしています。補助上限は最大2,000万円(特例要件充足時)、補助率は1/3〜2/3と、中小企業にとって実質的な資金負担を軽減できる内容です。

なお、補助金の名称は過去に「事業承継・引継ぎ補助金」として運用された時期がありますが、現在は「事業承継・M&A補助金」に統合・改称されています。同一制度の継続運用であり、過去の採択実績も本制度に引き継がれています。

事業承継全体の基礎知識については、こちらの記事でわかりやすく解説しています。


2026年の最新動向:15次公募の概要

2026年事業承継補助金の最新公募情報を確認する経営者

2026年5月22日、中小企業庁より事業承継・M&A補助金の第15次公募要領が公開されました。15次公募の申請受付期間は2026年6月19日(金)〜2026年7月24日(金)17時(予定)で、本記事執筆時点(2026年6月)はまさに申請準備を進めるべきタイミングです。交付決定は2026年9月下旬(予定)、補助事業実施期間は交付決定日から14か月以内(予定)とされています(中小企業庁、日本税理士会連合会等の公表情報より)。

15次公募の主な変更点・注目ポイントは以下の通りです。

専門家活用枠に「小規模売り手支援類型」が新設されました。製造業その他では従業員20人以下、商業・サービス業では5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下)の小規模事業者が、M&Aで事業を譲り渡す際の専門家費用を補助する仕組みです。規模が小さく単独では仲介費用の負担が重い事業者にとって使いやすい類型として注目されています。

廃業・再チャレンジ枠の廃業費は、14次公募から補助上限が150万円から300万円へ引き上げられており、15次でも継続されています。

スケジュール面では、採択→交付申請→事業実施→実績報告→入金という流れが標準的で、申請から入金まで概ね6〜12か月程度を見込む必要があります。最新のスケジュールは事業承継・M&A補助金公式サイト(shoukei-mahojokin.go.jp)で随時確認してください。


4つの支援枠:自社に合った枠の選び方

事業承継補助金4つの支援枠を比較検討する経営者と専門家

事業承継・M&A補助金には、事業承継の形態・フェーズに応じた4つの支援枠があります。複数の枠に該当する可能性がある場合は、廃業・再チャレンジ枠との併用申請も検討できます(他の3枠間の同時併用は不可)。

以下に4枠の概要を整理します。

支援枠対象フェーズ・目的補助上限額(目安)補助率(目安)主な対象経費
事業承継促進枠親族内・従業員承継後の設備投資800〜1,000万円1/2または2/3設備投資費・店舗改築工事費等
専門家活用枠(買い手・売り手)M&Aの専門家費用450〜2,000万円(類型・特例による)1/2または2/3仲介費用・FA費用・DD費用等
PMI推進枠M&A後の経営統合作業600〜2,000万円1/2または2/3統合支援専門家費・システム統合費等
廃業・再チャレンジ枠事業廃業費用300万円(単独)〜加算2/3または1/2廃業支援費・在庫廃棄費・解体費等

※補助上限額・補助率はいずれも目安であり、類型・条件によって異なります。詳細は最新の公募要領(中小企業庁公式サイト)でご確認ください。

事業承継促進枠

親族内承継(子どもや親族への引き継ぎ)や従業員承継を、公募申請日から5年以内に行う予定または既に行った経営者が、その承継を契機として設備投資や店舗改築を行う場合に活用できる枠です。対象となる承継時期や要件は公募回ごとに定められているため、必ず最新の公募要領で確認してください。

補助上限は原則800万円(補助率1/2)ですが、一定の賃上げ要件を満たす場合は1,000万円に引き上げられます。また、小規模事業者に該当する場合は補助率が2/3に引き上げられます。「設備が老朽化しており、後継者に渡す前にリニューアルしておきたい」というケースに適した枠です。

注意点として、「承継してから申請する」のではなく、「承継前の準備段階で申請し、交付決定を受けてから設備投資を実施する」という順序が求められます。交付決定前に発注・契約を行うと補助対象外となるため、承継スケジュールと補助金のタイムラインを合わせた計画が必要です。

専門家活用枠

M&Aで事業を譲り渡す(売り手)または譲り受ける(買い手)際に発生する専門家費用を補助する枠です。仲介会社やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)への委託費用、デューデリジェンス(DD)費用などが対象経費となります。ただし補助対象となる経費区分・上限額・対象専門家には要件があり(M&A支援機関登録等)、すべての仲介会社費用が自動的に補助対象になるわけではありません。申請前に公募要領で対象専門家の要件を必ず確認してください。

買い手支援類型・売り手支援類型に分かれており、通常の補助上限は600万円(DD費用を申請する場合は最大800万円)です。特例として「100億企業宣言」の要件を満たす場合は最大2,000万円まで補助を受けられます。「100億企業宣言」とは、一定の成長要件を満たす中小企業が宣言することで適用される特例制度で、詳細は公募要領を参照してください。

15次公募から新設された「小規模売り手支援類型」は、小規模事業者(製造業その他20人以下、商業・サービス業5人以下等)がM&Aで事業を譲り渡す際の専門家費用を補助する類型です。補助上限は450万円、補助率は2/3(15次公募時点)とされており、小規模事業者でも活用しやすい設計となっています。補助上限額・補助率は公募ごとに変更される可能性があるため、最新の公募要領を必ず確認してください。

なお、M&AにはNDA(秘密保持契約)・IM(企業概要書)の作成から始まり、LOI(意向表明書)・MOU(基本合意書)の締結、デューデリジェンス、DA(最終契約書)、クロージングへと進む流れがあります。専門家活用枠は、このプロセス全体にわたって生じる専門家費用をカバーできる設計です。

PMI推進枠

PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後の経営統合プロセスのことです。組織・人事・ITシステム・財務管理など、複数の企業が一体として機能するための統合作業を指します。M&Aの成果はPMIの質に大きく左右されると言われており、本枠はその費用を補助することでM&Aの実効性を高める目的で設けられています。

PMI推進枠は「専門家活用類型」(統合支援専門家費)と「事業統合投資類型」(設備・システム統合費等)に分かれており、2類型の同一公募回での同時申請は原則認められていませんが、取り扱いは公募回ごとに異なる場合があるため、最新の公募要領を確認してください。また、PMI推進枠はM&A成立済みの案件すべてが対象になるわけではなく、公募回ごとに定められた対象期間要件を満たす必要があります。M&A成立からどの程度時間が経過しているか、現在のPMI段階がどこにあるかを確認したうえで適切な類型を選ぶ必要があります。

廃業・再チャレンジ枠

事業承継やM&Aに伴って既存事業の一部または全部を廃業する際の費用を支援する枠です。廃業支援費(弁護士・税理士費用)、在庫廃棄費、建物の解体費、原状回復費、土壌汚染調査費、リース解約費などが対象経費となります。

14次公募から補助上限が150万円から300万円に引き上げられており、他の3枠との併用も可能です。たとえば専門家活用枠で売り手としてM&Aを実施しながら、一部の不採算事業を廃業・再チャレンジ枠で整理する、という組み合わせが実務ではよく検討されます。


申請対象となる事業者の要件

事業承継補助金の申請対象要件を確認する中小企業経営者

本補助金の申請対象は、日本国内に拠点を持つ中小企業者・小規模事業者・個人事業主です。中小企業者の定義は中小企業基本法に準じており、業種ごとに資本金または従業員数の上限が設けられています。

共通要件として押さえておくべき主な点は以下の通りです。

GビズIDプライムアカウントを取得していること(電子申請の必須要件)。発行までに通常2〜3週間かかるため、公募受付開始前に手続きを済ませる必要があります。

申請日時点で事業承継やM&Aの取り組みを「補助事業期間内に行う予定または実施中」であること。すでにM&Aが成立している場合でも、PMI推進枠などM&A後のフェーズを対象とする枠に申請できる場合がありますが、補助対象となるには公募回ごとに定められた対象期間要件を満たす必要があります。詳細は各公募回の公募要領で確認してください。

賃上げ加点等の特例要件については公募ごとに条件が変わる場合があるため、最新の公募要領を確認してください。

また、過去に本補助金(旧制度含む)で採択された事業者が再度申請する場合、採択回数や直近の申請状況によって制約が生じることがあります。事前に事務局への確認を推奨します。


補助対象経費と対象外経費

補助対象経費と対象外経費の内訳を確認する中小企業経営者

補助金申請において最も注意が必要なのは、「どの経費が補助対象か」の見極めです。支援枠ごとに対象経費が異なり、かつ交付決定前に発生した経費は原則として補助対象外となります。

補助対象となる主な経費の例を枠別に示します。

事業承継促進枠では、設備投資費(機械装置、工具・器具・備品)、店舗・事務所の改築工事費用などが対象です。

専門家活用枠では、M&A仲介会社への着手金・成功報酬(レーマン方式等)、FAへの委託費用、デューデリジェンス(財務DD・法務DD・税務DDなど)に関する費用、マッチングサービス利用料などが対象経費に含まれます。レーマン方式とは成約金額(株式譲渡対価など)に応じて手数料が段階的に変化する計算方式で、M&A仲介業界では最も広く使われています。

PMI推進枠では、統合支援専門家への委託費、ITシステム統合費(クラウドサービス導入費含む)、統合に伴う設備投資費などが対象です。

なお、いずれの枠でも原則として2者以上から見積もりを取得することが求められています。ただし合理的な理由がある場合(1社しか提供事業者が存在しない等)は1社見積もりが認められることもあり、その場合は理由書の提出等が必要です。詳細は公募要領の経費規定を確認してください。見積書には発行者・見積金額・業務受託期間・受託業務の範囲が明記されていることが必要です。この要件を満たさずに申請すると採択後の実績報告で経費が認められないリスクがあるため、申請前の段階から意識しておくことが重要です。

補助対象外となる主な経費には、人件費(役員報酬・給与等)、交通費・旅費、飲食費、税務申告に係る一般的な会計費用などがあります。


申請の流れ:6つのステップ

事業承継補助金の申請手続きを進める中小企業経営者

事業承継・M&A補助金の申請から補助金の受け取りまでは、標準的に以下の6ステップを経ます。

ステップ内容目安の期間・留意点
①公募申請jGrants(Jグランツ)で電子申請。事業計画書等を作成・提出公募期間中(約1か月間)
②採択事務局が書類審査を実施し、採択結果を公表申請締切後1〜2か月程度
③交付申請採択後に交付を受けるための申請を行う採択後すみやかに
④事業実施交付決定通知を受け取ってから補助対象の取組を実施補助事業期間内(通常14か月以内)
⑤実績報告事業完了後に証拠書類を添えて報告書を提出補助事業期間終了後
⑥補助金入金事務局が確認・審査を経て補助金を振り込み実績報告承認後

最も重要な原則が「交付決定前着手禁止」です。採択通知を受け取った後も、交付申請を経て正式な交付決定通知が届くまでは、補助対象の契約・発注・支払いを行ってはなりません。このルールに違反すると、せっかく採択されても当該経費が全額補助対象外となります。M&Aのスケジュールと補助金のプロセスを並行管理する際は特に注意が必要です。

申請書類の準備としては、事業計画書(承継後の経営方針・生産性向上の具体的内容を記載)、直近の確定申告書・決算書、各種誓約書などが主なものです。支援枠によって追加書類が求められます。専門家に申請代行を依頼する場合、申請書類の作成・提出という「代理行為」を有償で行えるのは行政書士に限られています(行政書士法第1条の2)。税理士・弁護士・中小企業診断士等が補助金申請についての助言・支援を行うことは可能ですが、書類作成・提出の代行を有償で請け負える資格者は行政書士です。

事前準備として特に時間がかかるのが、GビズIDプライムアカウントの取得(2〜3週間)と事業計画書の作成です。公募受付開始の1〜2か月前から準備を始めることが、余裕ある申請につながります。


採択率の実績

事業承継補助金の採択率データを確認する経営者

直近3回(11〜13次)の公募における採択率は、全体でおおむね60〜61%前後で推移しています。事務局が公表している採択実績は以下の通りです(事業承継・M&A補助金事務局公表データ)。

公募回次申請件数採択件数採択率
11次公募(専門家活用枠のみ)590件359件約60.8%
12次公募(全4枠)742件453件約61.1%
13次公募(全4枠)481件293件約60.9%

採択率が約60%というのは、補助金制度のなかでは比較的高い水準です。ただし、採択率の高さは「準備の整った申請が多い」という側面もあります。事業計画書の質が低い、対象経費の根拠が不明確、賃上げ要件の説明が不足しているといった申請は不採択になるリスクがあります。採択率が高いことを理由に準備を省略することは避けてください。

なお、枠によっても採択率に差が生じる傾向があります。申請を検討する枠の過去実績は公式サイトで確認できます。


申請で失敗しやすいパターンと対策

事業承継補助金の申請失敗パターンを専門家に確認する経営者

本補助金の申請において多く見られる失敗パターンと、その対策を整理します。

交付決定前に契約・発注を行ってしまうケースは最も多い失敗の一つです。M&Aや設備投資のスケジュールと補助金の手続き期間を別々に管理せず、「採択されたので次の段階へ」と動いてしまうことで発生します。交付申請の提出から交付決定通知の受領まで数週間かかることを前提に、発注・契約のタイミングを設定してください。

事業計画書の記載が抽象的すぎるケースも見受けられます。「生産性が向上する」「シナジーが期待できる」という定性的な説明だけでは不十分で、具体的な数値目標(売上・利益・従業員一人当たり付加価値額など)と、その根拠となる取り組み内容が求められます。

相見積もりの要件を満たさない見積書を提出するケースも実績報告時のトラブルにつながります。見積書には発行者・見積金額の内訳・業務受託期間・受託業務の範囲が明記されている必要があり、これらが不足していると当該経費が不認定となる場合があります。

補助金はあとから支払われる後払い制度であることを見落とし、事業実施中の資金繰りが厳しくなるケースも少なくありません。事業実施中の費用はいったん全額自己負担で支払い、実績報告の承認後に補助金が振り込まれます。キャッシュフローの計画を事前に立てておくことが重要です。

また、申請を急ぐあまり、自社の状況に合わない枠を選んでしまうケースもあります。4つの枠のそれぞれの対象要件・補助対象経費・スケジュールを比較したうえで、自社のフェーズに最適な枠を選ぶことが、採択可能性を高める基本です。


事業承継補助金を活用する際のチェックリスト

事業承継補助金申請前のチェックリストを確認する経営者

申請前の準備段階で確認すべき項目を整理します。

  • [ ] 自社が中小企業基本法上の中小企業者・小規模事業者に該当するか確認した
  • [ ] GビズIDプライムアカウントを取得済み(または取得手続き中)である
  • [ ] 申請する枠が自社の承継フェーズ・目的に合致している
  • [ ] 補助対象経費の範囲を公募要領で確認し、対象外経費を申請に含めていない
  • [ ] 2者以上からの見積もりを取得し、必要事項が記載されているか確認した
  • [ ] 事業計画書に具体的な数値目標と根拠を記載している
  • [ ] 交付決定通知を受け取るまで補助対象経費の契約・発注を行わないよう関係者に周知した
  • [ ] 補助事業期間中の資金繰り(一時的な自己負担)に対応できる資金手当てをしている
  • [ ] 同一経費で他の補助金・助成金を受給していないことを確認した
  • [ ] 実績報告に必要な証拠書類(請求書・領収書・契約書等)の保管ルールを確認した

事業承継に活用できるその他の補助金・支援策

事業承継に活用できる補助金・支援策の情報を調べる経営者

事業承継・M&A補助金と組み合わせて活用できる支援策も複数存在します。補助金の重複受給は禁止されていますが、別の経費に対して別の制度を利用することは可能です。

東京都中小企業振興公社が設けている「事業承継支援助成金」のように、都道府県・市区町村が独自に設けている地方版の助成金も存在します(対象地域・金額は自治体ごとに異なります)。

中小企業庁の「事業承継・引継ぎ支援センター」は、無料で事業承継に関する相談を受け付けており、M&Aのマッチング支援も行っています。補助金申請の前段階として、まず同センターに相談することも一つの方法です。

税制面では「事業承継税制」(非上場株式等の贈与税・相続税の特例措置)も活用の選択肢です。ただし税制の適用要件や手続きは複雑であり、適用する場合は税理士への相談が不可欠です。なお税制は改正の可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトで確認してください。

事業承継税制の詳しい適用要件と手続きについては、事業承継税制(特例措置)の要件・メリット・手続きで詳しく解説しています。

公的支援機関の活用方法については、事業承継支援制度・機関の活用ガイドで詳しく解説しています。


補助金申請と「条件の妥当性確認」を同時に進める視点

M&A条件の妥当性について中立的な専門家に相談する経営者

補助金を活用してM&Aを進める際、経営者が注意すべきことがあります。補助金を活用できるという前提でM&Aや承継の計画を組み立てていると、補助金の採否に依存した意思決定になりがちです。

補助金はあくまでも費用の一部を軽減する手段であり、M&Aや事業承継そのものの判断基準は別に持つ必要があります。特に「M&Aの価格(株式譲渡対価)が適切かどうか」「提示された条件は売り手にとって妥当かどうか」という点は、補助金の有無とは切り離して検討すべき問題です。

仲介会社やM&Aアドバイザーはプロセスをサポートしてくれる専門家ですが、交渉の中心にいる当事者として、提示された条件を自分なりに評価する視点も必要です。「この条件で本当によいのか確信が持てない」「価格の根拠を別の専門家にも確認したい」と感じた場合、M&Aセカンドオピニオンという選択肢があります。

M&Aインサイトが提供するM&Aセカンドオピニオンは、完全無料・成功報酬なしで売り手経営者の立場から中立的な意見を提供するサービスです。条件の妥当性を確認したい段階でのご相談はこちらからどうぞ。

M&Aセカンドオピニオンの具体的なサービス内容と活用方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。


よくある質問(FAQ)

事業承継補助金についてよくある質問を確認する経営者

Q1. 個人事業主でも事業承継・M&A補助金に申請できますか?

申請できます。中小企業者だけでなく個人事業主も対象となっています。ただし、申請にあたってはGビズIDプライムアカウントの取得が必要であり、事業計画書の作成など、法人と同様の手続きが求められます。業種や規模によっては「小規模事業者」として上位の補助率(2/3)が適用される場合もありますので、公募要領の要件を確認してください。

Q2. 事業承継・M&A補助金はいつ受け取れますか?

採択→交付決定→事業実施→実績報告→入金というプロセスを経るため、申請から実際に入金されるまで概ね6か月〜1年以上かかるのが一般的です。補助金は後払いのため、事業実施中は自己資金でまかなう必要があります。資金繰り計画は余裕を持って立てることをお勧めします。

Q3. 同じ年度内に複数の枠を申請することはできますか?

廃業・再チャレンジ枠は他の3枠(事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠)のいずれかと併用申請が可能です。一方、事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠の3枠間では、同一公募回での同時申請は認められていません。

Q4. 採択されたが、M&Aが不成立になった場合はどうなりますか?

補助事業期間内にM&Aが成立しなかった場合、補助事業を中止して事務局に報告する手続きが必要となります。採択・交付決定を受けていても、補助対象の取組が実施されなければ補助金は交付されません。M&Aの進捗状況と補助金のスケジュールを定期的に照合することが重要です。

Q5. 申請代行を頼みたい場合、誰に依頼できますか?

申請書類の作成・提出という代理行為を有償で行えるのは、行政書士に限られています(行政書士法第1条の2)。税理士・弁護士・中小企業診断士などが補助金申請のサポートや助言を行うことはできますが、書類作成・提出の代行を有償で請け負える資格者は行政書士です。信頼できる専門家へ相談する際はこの点を確認してください。

Q6. 補助金申請に必要なGビズIDとは何ですか?

GビズID(GビズIDプライム)は、中小企業・小規模事業者が行政のオンラインサービスを安全に利用するための認証アカウントです。事業承継・M&A補助金の申請システムであるjGrants(Jグランツ)を使うために必要で、アカウント発行には通常2〜3週間かかります。申請を考えている場合は公募受付開始前に取得手続きを進めてください。詳細はGビズIDポータル(gbiz-id.go.jp)を参照してください。

Q7. 補助金申請後に事業計画の内容を変更することはできますか?

補助事業の内容を変更する場合は、事務局への事前承認(計画変更申請)が必要です。承認なしに計画と異なる取り組みを実施した場合、実績報告時に経費が不認定となる可能性があります。事業の状況変化が生じた際は、速やかに事務局に連絡して対応方法を確認することが重要です。


まとめ

事業承継補助金の活用方針を決めた中小企業経営者

事業承継・M&A補助金は、親族内承継・M&A・PMI・廃業再挑戦という事業承継の4つの局面を網羅する実用性の高い国の補助制度です。2026年6月時点では15次公募が進行中であり、特に小規模事業者向けの「専門家活用枠 小規模売り手支援類型」が新設されたことで、これまで手が届きにくかった規模の事業者にも活用の選択肢が広がっています。

申請にあたっては、枠の選択・事業計画書の内容・交付決定前着手禁止のルール・相見積もりの取得という4つのポイントが特に重要です。いずれかを見落とすと採択後のトラブルや補助金の不支給につながるリスクがあります。

補助金の活用と並行して、M&Aの条件面でも「自社にとって本当に妥当かどうか」を検証する視点を持ってください。価格・条件の妥当性について中立的な第三者意見を聞きたい場合は、M&Aセカンドオピニオンをご活用ください。M&Aインサイトでは、完全無料・成功報酬なしで売り手経営者の立場から率直なアドバイスをお伝えしています。

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本記事は、公募要領・公的機関の公表情報をもとに2026年6月時点の情報として作成しています。補助金の要件・補助上限・補助率・スケジュールは公募ごとに変更される可能性があるため、申請にあたっては必ず最新の公募要領(中小企業庁公式サイトまたは事業承継・M&A補助金事務局公式サイト)でご確認ください。税務・法務に関わる判断は、税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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