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会社売却の手取り額はいくら?税金・諸費用を引いた残りを試算

「会社を売却したら、実際に手元に残るお金はいくらなのか」——これは、M&Aを検討しているほぼすべての経営者が最初に抱く疑問です。売却価格が高くても、税金や手数料を差し引いた後の手取り額が想定よりはるかに少なかったという話は、決して珍しくありません。
会社売却の手取りは、売却価格そのものではなく、「売却スキーム(手法)」「税金」「仲介手数料」という三つの要素によって大きく左右されます。たとえば同じ5億円の売却案件でも、株式譲渡と事業譲渡では手取りに数千万円から1億円以上の差が生じることがあります。
こうした構造を事前に理解しておかなければ、交渉の席でも「何がどれくらい残るのか」を判断できません。契約書を前にして初めて税金の重さに気づいても、選択肢はすでに限られています。
そこで本記事では、会社売却の手取り額を左右する要因を整理したうえで、スキーム別の税金計算の考え方、合法的な節税対策、さらには手取りを最大化するための実務的なポイントを、売り手経営者の視点でわかりやすく解説します。
会社売却の全体的な流れと相場を理解しておくことが、手取りを最大化する出発点です。

この記事の監修者

森沢 雄太
一般社団法人
M&Aセカンドオピニオン協会
代表理事
外資系銀行でのウェルスマネジメント業務を経て、日本M&Aセンターに入社。譲渡側アドバイザーとして100件超の成約に関与し、野村證券出向や福岡支店立ち上げも経験。2018年に日本投資ファンド立ち上げに参画し、投資先の再生にも成功。2022年、合同会社M&Aプレップを創業し、仲介会社・ファンドへの支援やオーナー向け売却準備、買収支援など幅広く展開。2024年には売却支援事業拡大のため株式会社企業経営支援機構を設立し代表に就任。加えて、M&Aにおける利益相反や情報格差の是正を目的とし、代表理事として一般社団法人M&Aセカンドオピニオン協会を設立。
会社売却の手取りを決める三つの要素

会社売却で最終的に手元に残る金額は、以下の三つの要素から算出されます。この構造を把握することが、手取り最大化の第一歩です。
売却価格(譲渡対価)
売却価格は、買い手と売り手が交渉を経て合意する金額です。一般的に、事業の収益力・資産・成長性などをもとに企業価値が評価され、その結果をふまえて最終的な譲渡対価が決まります。売却価格は手取りの出発点ですが、ここから手数料と税金が差し引かれる点を忘れてはなりません。
仲介手数料・アドバイザリーフィー
M&Aを仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)に依頼した場合、成功報酬として仲介手数料が発生します。多くの場合、売却価格に応じて計算される「レーマン方式」が採用されており、売却規模が大きいほど手数料率は逓減する構造になっています。
レーマン方式は業界慣行として広く採用されている手法です。中小M&Aガイドライン(第3版、中小企業庁・2024年8月改訂)でも、M&A専門業者の手数料算定の実態として言及されていますが、ガイドラインが算定式そのものを規定しているわけではありません。また「基準となる価額」の考え方や最低手数料の設定は各社によって異なり、採用する考え方によって報酬額が大きく変動し得ます。手数料の計算根拠・金額の目安・最低手数料の有無を事前に確認し、複数社の条件を比較することが重要です。
税金
売却スキームによって発生する税金の種類と税率が異なります。個人株主が株式を譲渡した場合と、法人が事業を譲渡した場合とでは、課税の仕組みが根本的に異なるため、スキーム選択が手取りに直結します。次のセクションで詳しく解説します。
手取り計算の基本式:手取り額 = 売却価格 − 仲介手数料 − 税金
売却スキーム別の税金と手取り計算

会社売却には主に「株式譲渡」と「事業譲渡」の二つのスキームがあります。どちらを選ぶかで、課税される税金の種類・税率が大きく変わり、結果として手取り額に数千万円単位の差が生まれることもあります。
株式譲渡の具体的な税率と計算式については、株式譲渡の税金計算で詳しく解説しています。
以下の比較表でスキームごとの特徴を整理します。
| 項目 | 株式譲渡(個人株主) | 株式譲渡(法人株主) | 事業譲渡 |
|---|---|---|---|
| 売り手 | 個人オーナー | 法人(親会社等) | 法人 |
| 主な課税 | 譲渡所得税・住民税 | 法人税等 | 法人税・消費税(課税資産のみ)等 |
| 実効税率の目安 | 約20.315% | 約30%台前半(規模により異なる) | 約30%台前半(+課税資産に消費税) |
| 手取りの傾向 | 相対的に高い | ケースによる | 相対的に低くなりやすい |
| 手続きの複雑さ | 比較的シンプル | やや複雑 | 資産ごとに契約が必要で複雑 |
※事業譲渡における消費税は、有価証券・土地等の非課税資産を除く課税資産の譲渡に対してのみ課税されます。
個人株主による株式譲渡の税金と手取り
中小企業において最も一般的なケースは、オーナー経営者が個人で保有する株式を買い手に譲渡する「株式譲渡」です。
個人株主が非上場株式を譲渡した場合、譲渡所得に対して申告分離課税が適用されます。税率は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の合計で、約20.315%です(国税庁)。なお、復興特別所得税は令和19年(2037年)12月31日までの時限的な措置です。
計算式は次のとおりです。
譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
税額 = 譲渡所得 × 20.315%
取得費とは株式の取得にかかった費用(出資額など)、譲渡費用とはM&Aの仲介手数料などを指します。取得費の計算は原則として実際に要した金額(実額)で行います。取得費の記録が残っておらずどうしても不明な場合に限り、売却価格の5%を概算取得費として使用できる方法が認められています(国税庁・措置法通達37の10・37の11共-13)。
例として、5億円で株式を売却し、取得費500万円・仲介手数料2,500万円(概算)の場合を考えます。
- 譲渡所得:5億円 − 500万円 − 2,500万円 = 4億7,000万円
- 税額:4億7,000万円 × 20.315% ≒ 約9,548万円
- 手取り(概算):5億円 − 2,500万円(手数料) − 9,548万円(税金) ≒ 約3億7,952万円
この計算はあくまで概算であり、実際の取得費・手数料・その他経費によって大きく変動します。最終的な手取り額は必ず税理士と連携して試算してください。
法人株主による株式譲渡の税金と手取り
法人が株主として株式を譲渡した場合、譲渡益(売却価格 − 帳簿価額)は法人の益金として計上され、他の所得と合算したうえで法人税・法人住民税・法人事業税が課税されます。実効税率は企業規模や所在地によって異なり、資本金1億円以下の中小法人でおおむね30%前後、外形標準課税の対象となる法人では34%前後が目安となります。
なお、外形標準課税の適用対象は、単純に「資本金1億円超」とだけ判定できない場合があります。令和6年度税制改正(2024年公布)により、資本金が1億円以下であっても、資本金と資本剰余金の合計額が10億円超の場合や、特定の大法人グループの100%子法人等に該当する場合にも適用範囲が拡大されています。外形標準課税の適用有無については、資本金等の状況を踏まえた個別の確認が必要です。
また、2026年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税(基準法人税額から年500万円を控除した金額に対して税率4%)が創設されており、課税対象となる法人では追加の税負担が生じる可能性があります(国税庁・財務省)。中小企業の多くはこの基礎控除の範囲内に収まることが見込まれていますが、詳細は国税庁・財務省の公表資料を確認してください。
手取り額を個人に移すには、最終的に法人から個人へ配当や役員報酬として分配する段階でも税金が発生するため、個人株主の場合と比べると手取りが低くなりやすい点に注意が必要です。
事業譲渡の税金と手取り
事業譲渡は、会社そのものではなく特定の事業・資産・負債を選んで譲渡するスキームです。売り手は法人として扱われ、事業譲渡で得た利益は法人税の課税対象になります。さらに、課税対象となる資産(棚卸資産・機械・不動産建物部分など)の譲渡には消費税が課税されます。ただし、土地・有価証券などは消費税非課税です。
また、事業譲渡の一環として不動産を個別移転する場合には、不動産取得税・登録免許税が発生することがあります。手続きは資産ごとに個別契約が必要で、株式譲渡と比べて複雑です。
事業譲渡後に法人に残った現金を個人が受け取る際にも配当課税などが発生するため、オーナー個人の手取りという観点では、税負担が重くなる傾向があります。
手取りを増やす節税対策

会社売却において合法的に手取りを最大化するための代表的な節税対策を解説します。いずれも実行には専門家との連携が不可欠であり、最終判断は必ず税理士・弁護士に確認してください。
節税対策の前提となる税金の仕組みは、会社売却にかかる税金の全体像で詳しく解説しています。
役員退職金の活用(個人株主・株式譲渡の場合)
個人株主が株式を譲渡する場合に最も効果的な節税手法の一つが、役員退職金の活用です。M&Aのクロージングに合わせて、売り手経営者が会社から役員退職金を受け取る「役員退職金スキーム」と呼ばれる手法です。
役員退職金は給与所得とは別に計算される「退職所得」として扱われ、以下の計算式で退職所得控除が適用されます。
退職所得控除額 = 40万円 × 勤続年数(20年以下の部分) + 70万円 × (勤続年数 − 20年)(20年超の部分)
さらに、退職所得は原則として「(退職金 − 退職所得控除額)÷ 2」が課税所得となるため、同額を給与として受け取るよりも大幅に税負担が軽減されます。
ただし、役員等としての勤続年数が5年以下の「特定役員退職手当等」については、この2分の1の計算が適用されず、退職所得控除後の全額が課税対象となります(国税庁No.2737)。M&Aのタイミングで役員就任から日が浅い場合は適用できないため注意が必要です。
たとえば勤続30年の経営者が退職金を受け取る場合、退職所得控除は40万円×20年+70万円×10年 = 1,500万円となります。退職金が2,000万円なら、課税退職所得は(2,000万円 − 1,500万円)÷ 2 = 250万円と、大幅に圧縮されます。
ただし、役員退職金の金額は「過大役員退職金」として税務署に否認されるリスクがあります。一般的に「最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率(目安は2〜3倍程度)」の範囲内で設定することが求められます。功績倍率は業種・規模・役員の貢献度によって異なるため、専門家の意見を得たうえで合理的な金額を設定することが重要です。
また、役員退職金を支払うと会社の純資産が減少します。純資産の減少は株式の評価額(売却価格)を下げる要因にもなり得るため、退職金の節税効果と売却価格への影響を総合的に考慮したうえで判断することが必要です。
欠損金の活用
法人が事業譲渡や法人株主として株式譲渡を行う場合、過去に発生した欠損金(繰越欠損金)が活用できることがあります。繰越欠損金とは、過去の事業年度で生じた損失のうち、翌期以降に繰り越して利益と相殺できる金額です。
ただし、株式譲渡によって買い手が会社を取得した後の繰越欠損金の引継ぎには制限があります。特定の支配関係変更等がある場合など一定の要件に該当するケースでは、支配関係の生じた事業年度前の欠損金は引き継げないなど、複雑な規定が存在します。現行の税制上の扱いについては税理士に確認することが必須です。
会社分割の活用
事業全体ではなく一部の事業や資産を切り離して売却したい場合に有効なのが、会社分割を組み合わせるスキームです。会社分割は消費税法上、権利義務の包括承継として原則不課税取引(課税対象外)となるため、事業譲渡で発生する課税資産への消費税が生じないスキームとなる場合があります。ただし、組織再編税制上の要件の判定は複雑であり、税務・法務両面での事前設計と専門家による検討が不可欠です。
第三者割当増資との組み合わせについて
会社売却の場面で第三者割当増資(買い手が対象会社に出資し新株を取得する手法)を組み合わせることがあります。ただし、この手法において買い手が会社に払い込む資金は会社に入るものであり、既存株主(売主オーナー個人)が直接受け取る対価とは異なります。既存株主の持分比率が希薄化するという側面もあるため、「売主の手取りを増やす単純な節税策」として捉えることは適切ではありません。
株式譲渡・退職金・配当・組織再編等を含む全体設計のなかで検討される高度な資本政策であり、税務上のリスクや手続きの複雑さもあります。活用を検討する場合は必ず専門家と十分に設計・確認してから判断してください。
手取りを最大化するための重要ポイント

節税対策と並んで、売却価格そのものを高めることも手取り最大化には欠かせません。
企業価値評価の仕組みを理解する
会社の売却価格は、複数の企業価値評価手法を組み合わせて算定されます。中小企業のM&Aでよく使われる手法は以下のとおりです。
| 評価手法 | 概要 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| 純資産法(コストアプローチ) | 貸借対照表の純資産をベースに算定 | 製造業・不動産保有会社など資産が多い場合 |
| DCF法(収益アプローチ) | 将来のキャッシュフローを現在価値に割引 | 収益性が高く成長性がある企業 |
| EBITDAマルチプル法(マーケットアプローチ) | 類似会社の取引倍率をもとに算定 | 業界の比較データが入手できる場合 |
| 年買法 | 純資産+営業利益×数年分でのれんを加算 | 中小企業のM&Aで簡便的な参考指標として用いられる |
年買法は「純資産 + 税引後営業利益 × 2〜5年分」が目安とされますが、正式な企業価値評価手法ではなく、あくまでも簡便的な参考指標の一つです。業種・規模・市場環境によって倍率は大きく変わります。EBITDAマルチプルについても同様に、業界や取引規模によって数倍程度の幅があり、一概に断言できません。売却前に自社の企業価値を概算把握しておくことで、交渉の拠り所になります。
売却タイミングと準備の重要性
企業価値は業績・市場環境・業界トレンドによって変動します。一般的に、売上・利益が成長過程にあり、事業の将来性を示せる時期が売却に有利とされます。また、売却を決意してから慌てて準備するのではなく、財務諸表の整備・属人化した業務の仕組み化・法務上のリスク低減を事前に進めておくと、買い手からの評価が高まり、成約可能性と売却価格の両方が向上します。
売却後の資金運用とライフプラン
会社売却で得た手取り資金をどう活かすかは、売却後の人生設計に直結します。まとまった金額を受け取った後に考えておきたい主なポイントは次のとおりです。
売却益に課税された後の資金は「手取り後の純資産」として管理し、再投資・老後資産・相続対策のいずれに振り向けるかを決めることが重要です。とくに相続税への影響は無視できません。現金・預金として保有すると相続税評価額が額面どおりになるため、専門家と連携した資産配分の検討が求められます。また、売却後に役員報酬として受け取る場合は給与所得として課税される点も考慮が必要です。
注意すべき税務リスクと落とし穴

手取りを増やそうとした結果、税務上のリスクを抱えることになっては本末転倒です。代表的な注意点を整理します。
こうした税務リスクで後悔した実例は、手取りを過大評価して後悔したケースで詳しく解説しています。
みなし配当のリスク
会社が自己株式(金庫株)を取得して株主に対価を支払う場合、その対価のうち「取得対象株式に対応する資本金等の額を超える部分」はみなし配当として扱われます。なお、この判定では会社全体の資本金等の額ではなく、取得される株式に対応する部分の資本金等の額を基準に計算します。みなし配当は配当所得として総合課税の対象となり、所得税の最高税率(45%)と住民税(10%)に加え、復興特別所得税も加算されるため、実効的な税率が最大55%を超える可能性があります。
通常の株式譲渡所得(約20.315%)と比べて大幅な税負担増となるリスクがあることを認識し、自己株式取得(金庫株)を活用したスキームを検討する際は必ず事前に税理士と確認してください。
「のれん」に関する税務
事業譲渡では、純資産額を超える部分の対価が会計上「のれん」として扱われます。税務上は「資産調整勘定」として計上され、買い手側は原則として5年間で均等償却できます。一方、売り手側では事業譲渡益の一部として法人税の課税対象になります。のれん(税務上の資産調整勘定)の配分は交渉事項でもあるため、譲渡対価の内訳設計が税負担に影響します。
確定申告と納税スケジュール
個人株主が株式を譲渡した場合、翌年の2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行う必要があります(申告分離課税)。証券会社等を経由せず当事者間で直接譲渡する場合は特定口座での源泉徴収が適用されないため、必ず自分で申告する必要があります。
納税のスケジュールには注意が必要です。所得税・復興特別所得税は確定申告と同時期(原則3月15日まで)に納付しますが、住民税は確定申告の情報をもとに翌年6月以降に普通徴収として納付書が届きます。納付時期がずれるため、M&Aのクロージング後から各納税時期まで、売却代金のうち概ね20〜30%程度を税金の支払いに備えた別口座で管理しておくことを強くお勧めします(株式譲渡所得の税率が約20.315%であることを踏まえ、仲介手数料等を含めると実際の必要資金はこの水準を上回る場合もあります)。
グローバル最低課税とその他の税制動向
グローバル・ミニマム課税(国際的最低課税額)は、令和6年(2024年)4月1日以後に開始する対象会計年度から、年間総収入金額が7億5,000万ユーロ相当以上の特定多国籍企業グループを対象に適用されています(国税庁)。中小企業の通常の会社売却では直接影響するケースは限定的ですが、グループ企業に属する場合や一定規模以上の企業は確認が必要です。
また、2026年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税(基準法人税額から年500万円を控除した金額に対して税率4%)が創設されており、法人株主の株式譲渡・事業譲渡を含む法人課税全般に影響が生じる可能性があります。最新の税制については国税庁・財務省の公表資料で確認してください。
売却前に確認すべきチェックリスト

会社売却を検討している経営者が、手取りの最大化と売却プロセスの円滑化のために事前に確認しておくべき項目をまとめました。
- ☐ 自社の売却スキーム(株式譲渡・事業譲渡)の方向性を決めているか
- ☐ 直近3期分の財務諸表が整備されており、税務申告も適切に行われているか
- ☐ 株主名簿・定款・登記情報が最新の状態になっているか
- ☐ 会社の株式の取得費(出資額・取得時の記録)を確認できる状態か
- ☐ 役員退職金の活用余地(勤続年数・最終報酬月額・役員就任年数)を把握しているか
- ☐ 繰越欠損金の有無・金額を確認しているか
- ☐ 仲介手数料の概算(レーマン方式での試算・最低手数料の確認)を行っているか
- ☐ 確定申告・納税(所得税は3月15日まで・住民税は翌年6月以降)に備えた資金計画を立てているか
- ☐ 税理士・弁護士などの専門家に相談・依頼できているか
- ☐ 売却後のライフプラン(資金運用・相続対策)を検討しているか
手取りを最大化するために「第三者の目」を活用する

会社売却において、仲介会社やM&Aアドバイザーは売却成立に向けた専門的なサポートを提供しています。ただし、交渉過程においては「この条件は自分にとって本当に適切か」「税務上のリスクは正しく評価されているか」といった判断を、自分一人または仲介会社だけに任せることには限界があります。
手取り条件の妥当性を第三者視点でチェックしたい方は、M&Aセカンドオピニオンをご活用ください。

特に、手取り額に直結するスキーム選択・価格交渉・節税対策については、売り手側に立つ独立した専門家の意見を取り入れることが、後悔のない判断につながります。
M&Aインサイトは、売り手経営者が「自分の条件は適切なのか」「もっと手取りを増やせるのか」といった疑問に対して、第三者の立場から中立的な意見を無料でお伝えするM&Aセカンドオピニオンを提供しています。成功報酬は一切いただかず、売り手に100%寄り添う立場でサポートします。
売却の検討段階から最終契約の直前まで、どのタイミングでもご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)

会社売却の手取りはどのくらいが目安ですか?
手取り額は売却スキーム・売却価格・取得費・手数料・個人の所得状況によって大きく異なり、一概に「何%残る」とは言えません。参考として、個人株主が5億円で株式を売却し、取得費500万円・仲介手数料2,500万円と仮定した場合の概算では、税額が約9,548万円となり、手取りは約3億7,952万円となります。ただしこれはあくまで上記の前提条件に基づく一例であり、取得費・手数料・その他経費の実態によって大きく変動します。詳細は税理士に個別計算を依頼してください。
株式譲渡と事業譲渡ではどちらの手取りが多いですか?
オーナー個人の手取りという観点では、一般的に個人株主による株式譲渡の方が手取りが多くなる傾向があります。株式譲渡所得への税率は約20.315%であるのに対し、事業譲渡では法人税(約30%台前半)と課税資産に対する消費税が発生し、さらに法人から個人へ資金を移す際にも課税されます。ただし、会社の状況や欠損金の有無、残したい資産・負債の内容によって最適なスキームは異なります。必ず専門家に相談のうえ判断してください。
役員退職金を活用すると手取りが増えるのはなぜですか?
役員退職金は「退職所得」として扱われ、「退職所得控除」が適用されたうえで課税所得が原則1/2に圧縮されます。同じ金額を役員報酬として受け取るより税負担が大幅に軽減されるため、株式の売却対価の一部を退職金という形で受け取ることで、手取り額を増やせることがあります。ただし、役員等としての勤続年数が5年以下の場合は「特定役員退職手当等」として1/2課税の適用外となる点に注意が必要です。また、過大役員退職金として税務署に否認されないよう、合理的な金額設定が不可欠です。
会社を売却した後、確定申告は必要ですか?
個人株主として株式を譲渡した場合、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です(申告分離課税)。証券会社等を経由せず当事者間で直接譲渡する場合は特定口座での源泉徴収が適用されないため、必ず自分で申告する必要があります。所得税・復興特別所得税は確定申告と同じ期限(原則3月15日まで)に納付しますが、住民税は翌年6月以降に別途普通徴収で納付書が届きます。納付時期が異なるため、売却後の資金管理には十分注意してください。
手取りを最大化するためにいつから準備を始めるべきですか?
売却の2〜3年前から財務体質の改善・属人化した業務の仕組み化・法務上のリスク整理を始めることが理想です。企業価値は直近2〜3期の業績に大きく影響されるため、売却時期に向けて収益性を高めておくことが有効です。また、役員退職金の額は勤続年数に連動するため、早期に会社に入社・就任している場合は長期勤続のメリットを活かせます。早い段階から税理士・専門家に相談しておくことで、後になって「もっと早く知っていれば」という後悔を防げます。
みなし配当とは何ですか?どう注意すればよいですか?
みなし配当とは、会社が自己株式を取得して株主に対価を支払う際、対価のうち取得対象株式に対応する資本金等の額を超える部分を配当所得として扱う税務上の概念です。この判定では、会社全体の資本金等の額ではなく、取得される株式に対応する部分の資本金等の額を基準に計算します。総合課税として所得税(最高税率45%)と住民税(10%)が適用され、復興特別所得税も加わることで実効的な税率が最大55%を超える可能性があります。通常の株式譲渡所得(約20.315%)と比べて大幅な税負担増となるリスクがあるため、自己株式取得(金庫株)を活用したスキームを検討している場合は、必ず事前に税理士に確認してください。
まとめ
会社売却の手取り額は、「売却価格 − 仲介手数料 − 税金」という基本式で決まります。しかし実際には、選択するスキームや節税対策の有無によって、手取りに大きな差が生じます。
本記事で解説した主なポイントを振り返ります。
- 個人株主による株式譲渡の税率は約20.315%(申告分離課税)で、三つのスキームの中では税負担が相対的に軽い
- 事業譲渡は法人税・課税資産への消費税が発生するうえ、個人への資金移転にも課税されるため、オーナーの手取りは低くなりやすい
- 役員退職金の活用・欠損金の活用・会社分割の組み合わせなどで、合法的に税負担を軽減できる(ただし役員勤続年数5年以下では退職所得の1/2課税が適用外となる点に注意)
- みなし配当のリスク・のれん(税務上の資産調整勘定)の税務処理・確定申告後の住民税納付タイミングには注意が必要
- 売却2〜3年前からの準備が、企業価値向上と手取り最大化につながる
会社売却は経営者にとって一生に一度の大きな決断です。税金・手数料・スキームの選択など、専門的な判断が求められる場面が多く、情報格差が手取り額に直結します。
「今の条件で本当によいのか」「見落としている節税の余地はないか」と感じたら、成功報酬なし・完全無料のM&Aセカンドオピニオンをご活用ください。